ラ・メゾン・コアントローが、アーティストのフロリエン・ヴィールに、リミテッド・エディションのパッケージ制作を依頼したのは2021年のこと。「芸術における植物の出現」をテーマにした論文でパリ国立高等美術学校を卒業したヴィール氏は、西洋の熱帯に対する見方に疑問を投げかけていました。ありきたりな表現と魅惑的な別の世界への空想の間で、彼は抽象画と具象画を混ぜ合わせたハイパーカラーのポップな世界を創造することで、世界の熱帯に対する固定観念を打ち破るのです。
フロリエン・ヴィールについて
フロリエン・ヴィールの探求
フロリエン・ヴィールの探求
フロリエン・ヴィールが初めて熱帯からインスピレーションを受けたのは、メキシコのチチェン・イッツァ遺跡近くのジャングルに足を踏み入れた時でした。その時、写真で綴った記録をもとに、独自の表現でボキャブラリー(語彙)を充実させていきました。彼は熱帯でさまざまなものを収集し、それらを互いに関連づけて、彫刻やインスタレーションとして西洋の日常の中に溶け込ませていきました。
ヴィール氏は、熱帯を遊び心と、ある意味風刺的な要素を交えて咀嚼し、人々の感覚を呼び覚まそうとしています。それは作品のタイトルにも明確に表れており、「Un peu plus loin après la mer(海から少し離れて)」、「Cabinet de souvenirs approximatifs(おおよその思い出のキャビネット)」、「Life is(n't) a Beach(人生はビーチだ(いや、違う))」などの示唆に富むタイトルが、私たちの興味を駆り立て、深く思いを巡らせる機会を与えてくれるのです。
彼は土産物や呪術に使う小物などを集めて、自宅で展示しているヴィール氏は、美術品コレクターでもあり、収集物を交換するという独特のアイデアを楽しんでいます。
ヴィール氏はまた、ジョナサン・ショーボー氏と共に、アーティスト集団「ザ・トロピクール・カンパニー」を立ち上げた創設メンバーです。このグループのおかげで、彼は書店の開店や展覧会の開催などに力を注ぐことができ、また、自身のアートの新しいビジョンを持つことができたのです。アイコニックなコアントローのボトルのデザインを依頼されたことも、可能性を探る新たなきっかけとなりました。
「このリミテッド・エディションをどうしても作らなければならないことは、明らかでした。
私にとって、これらは真のコレクターズアイテムです」
セレブレーション・オブ・テイスト
セレブレーション・オブ・テイスト
五感を知覚の手段と捉えているフロリエン・ヴィールは、早い段階で、「味」に着目しました。
フロリエンは研究のためにパイナップルドリンクを調合しました。彼はパイナップルドリンクの工業化に反対し、実際にトロピカルフルーツを用いた遊び心のあるデザインを提案し、自身の内覧会では、積極的に嗅覚を働かせ、エッセンシャルオイルやパロサントなどの天然の香木を使いました。
彼の手によって生まれた人工的な香りー”トロピカルな味”は、トロピカルドリンクの色をしたネオンで空間を照らすことによって生まれる”トロピカルな味”というユニークな概念から成ります。私たちはその空間に入り、ドリンクの、ひいてはアート作品の色と欺瞞に身をゆだねます。
コアントローとのコラボレーションには、ヴィール氏の嗅覚と味覚へのこだわりが最大限に込められています。この誰もが知る、クリスタルのように澄み切ったリキュールには、五感に響く40種類のノートが封じ込まれており、琥珀色のボトルから注がれる瞬間に、それらが驚きと共に解き放たれるのです。
「私は自分の作品の中で、色や形など多くのものを混ぜ合わせ、そこから全く新しいものを生み出します。カクテルも同じだと思います。さまざまなフレーバーを考え抜いて混ぜ合わせることで、独自の味を作り上げるのです」
オリジナル・マルガリータ
オリジナル・マルガリータ
「マルガリータは特別です。フラットなトーンと例えられる独特の色と、甘酸っぱい味が気に入っています。私の好きなスパイシーさがあります」
カクテルの話になると、フロリエン・ヴィールはメキシコへの旅を懐かしく回想し、60年代のティキ・ミュージックが流れるカクテル・バーでコアントローを見つけたことを思い返します。彼が夢見るのは、世界中のあらゆる場所で人々がマルガリータを楽しむことです。これはまさに、マーガレット・セイムスが思い描いたビジョンです。
1940年代後半、アカプルコの邸宅で数々のパーティーを開いていた彼女は、昼に楽しめるオリジナルのカクテルのレシピを求めていました。このカクテルの改良点を聞かれると、フロリエンはこう断言します。「マルガリータはそのままで完璧!」
イマジネーションの旅への誘い
イマジネーションの旅への誘い
フロリエン・ヴィールは、熱帯の世界に足を踏み入れたときと同じアプローチで、このコラボレーションに挑みました。それは層を重ねていく取り組みであり、敬意を払いつつボトルの各面を飾る3部作のデザインの主題を明らかにするアプローチです。オレンジはコアントローのオレンジピールの蒸留液を表し、“魂”を象徴する動物はオオハシになりました。フロリエンは、表情の豊かさ、一目でそれとわかる形、精巧な輪郭からモンステラの葉を選びました。
色の扱いを熟知しているフロリエンは、見る人がその中に入っているように感じる巨大なフレスコ画を描き、その間にある要素を巧に操るには、どのようなデザイン手法でアプローチするかが決め手となるのだと言います。
「私はコンピューターで絵のデザインを行います。最終的にボトルのラベルは、細部を除いて画面上のラベルとほぼ同じなりました。これらをデザインするには、基本に立ち返る必要がありました」。
「私の作品とコアントローの要素を共に用いて、それぞれのラベルをデザインしました。例えば、私の描く抽象的な色の断片とオオハシの間には、オレンジが見え隠れしています」
ザ・トロピクール・カンパニーによるリミテッド・エディション
2021年リミテッド・エディションを通して、アーティスト、フロリエン・ヴィールは、熱帯に光を当てたカラフルな解釈によって、私たちをラ・メゾン・コアントローの再発見する旅へと導き、生き生きとした味覚、嗅覚、視覚すべてを刺激するのです。